根上生也著,遊星社発行.
「 2100 を求めなさい」と言われたら, あなたはどうするだろうか? こういう問いかけから始まり, 2100 をテーマにいろいろな話を展開した啓蒙書である.
第 1 話「知って得する記数法」では, 2100 を求める際に,かけ算の回数を減らす方法を紹介し, 2 進法, 5 進法, 16 進法へと話が進んで, ひらがなを数字の代わりに用いた「ひらがな進法」が登場する. ひらがな進法の九九表などを交えながら, 記数法のしくみが解説されている.
第 2 話「 1000 進法でかけ算だ!」では, 電卓が 1000 進法の九九を教えてくれるのだという発想で, 電卓と紙と鉛筆を駆使して, 1000 進法のかけ算を練習し, 多倍長計算の原理を理解する. さらに,コンピュータ・プログラムで 1000 進法のかけ算を実現し, 2100 の 31 桁のすべてを求める.
第 3 話「でっかい数を操る奥義」では, 2n の先頭にどんな数が現れるかを探索する. 巨大な数を操る道具として対数を導入して, 1 から 9 までの数字がすべて登場することを確認した後, log 2 が無理数であることを使って, どんな数列でも適当な 2 のべき乗の先頭の数字の列として 登場することを証明する.
全体を通して, 難しい数学を使ったわけではないのに, 学校で習う数学とは一味違った数学が展開できることを訴えた. いつものことであるが, この本に挿入されているイラストも全部私自身が描いたものである. プロ並の腕に驚きの声も….
数学好きの中学生以上なら読みこなせるだろう. 特に,小学校,中学校,高校で算数,数学を教えている先生方に 読んでもらいたい. 「一気に読める!」が売りなので, その他の人もご一読を.