第三の理/補足○
大航海時代

 1492年にイタリアの探検家クリストファー・コロンブスが新大陸を発見したのを 皮切りに, 当時大国だったスペイン,イタリア,ポルトガルなどの探検家たちが 世界中をなめるように航海した. これがいわゆる「大航海時代」である. 有名なところでは, 1497年にバスコ・ダ・ガマがインド航路を発見し, フェルディナンド・マジェランが1519年から 3 年間の歳月を掛けて 史上初の世界一周を成し遂げた.

 この大航海時代の成果として, 人類は地球が丸いことを確信し,地球儀を完成させるに至ったわけである. もちろん,当時の人間には宇宙から地球の丸い姿を見ることなどできなかった. それにもかかわらず,その丸い姿を忠実に再現する地球儀を完成することが できたのも,数学のおかげだと言わざるをえないだろう. 数学を使えば,直接目にすることのできない物の姿まで見えてしまうのだ.

 この発想に立って, 空を見上げてみよう. 宇宙船に乗って地球を離れ,宇宙をどこまでもどこまでも旅を続けていったら どうなるのだろうか? 平らだと思い込んでいた地球が丸かったように, 宇宙も丸いかもしれない. だとすると,宇宙をまっすぐ進んでいったつもりでも, いつの日にか地球に戻ってしまうかもしない….

 そんな宇宙旅行は現在の技術では不可能だが, 数学の力によって,丸い宇宙の姿をイメージすることはできるのではないか? この期待に応えるべく書いたのが次の本である.

 本当の宇宙の姿を確定するには, 第 2 期大航海時代の到来を待たざるをえない. そういう時代を迎える前に, この本を読んで「宇宙の形」について予習しておこう. きっと,現代物理学では教えてくれない,意外な宇宙像があなたを待っていますよ.


negami@edhs.ynu.ac.jp [1998/5/1]