第三の理/補足○
カオス,フラクタルや複雑系

 カオスはもともと「混沌」を意味し, 聖書における天地創造以前の状態を表す言葉である. 一方,カオス理論では,「予測不可能」な状態を指して この言葉が使われている. 決定論的な現象であるにもかかわらず, 初期状態の観測不可能なほどに微細な違いが 想像を絶するほどの大きな違いとなって現れ, 何が起こるか予想不可能. そういう現象を発見し解析するのが「カオス理論」である.

 その解析のプロセスに登場する不可思議な図がいわゆるフラクタルである. 「フラクタル」は「砕けた石」を意味するラテン語の「フラクトゥス」をもじって, 1975年にベノワ・マンデルブローが創作した言葉である. フラクタル図形の本質は部分が全体と相似になるという「自己相似性」にある. この性質により,フラクタル図形は無限の繰り返しを伴う不思議な形になる. 不思議とはいえ,海岸線,シダの成長,落雷など, 自然界の随所にフラクタル的な構造を持つものが発見できる. 逆に,フラクタルの手法を使って作られたコンピュータ・グラフィックスの中には, 自然界のそれと見間違うほどのものもある.

 最後の「複雑系」はカオスやフラクタルを包括するもののようだが, 私にはよくわからない. 複雑なら何でも複雑系なのだろうか? 単なる流行語で終わらないことを期待する.


negami@edhs.ynu.ac.jp [1998/5/1]