第三の理/補足○
回転体の体積の公式

  x 軸を回転軸として, 関数 f(x) のグラフの a ≦ x ≦ b の範囲を回転して得られる曲面と その両端の円板で囲まれている 回転体の体積 V は次の積分を計算することで求められる.

V = π ∫ab f(x)2 dx
この公式は高校 3 年生の数学の時間に勉強する.

 私はこの公式を次のように理解している. まず,その回転体を回転軸に垂直な平面で切り刻んで, 厚みが Δx の部分に分解する. Δx が十分に小さければ, その各部分は半径が f(x) の円柱だと思うことができる. その円柱の底面積は π f(x)2 で, その高さは Δx だから, その体積は π f(x)2 Δx である. したがって,求めたい回転体の体積は, そういう円柱の体積を全部足したもので近似できる. V ≒ Σ π f(x)2 Δx どういう範囲で総和をとればよいのかが書かれていないから, この式はいい加減なものだが,意味だけわかればよしとしよう.

  Δx が限りなく 0 に近付いていけば, その近似の精度がどんどん上がっていく. その極限において総和が積分に化けて, 定数の π が前に出れば, 最初の公式ができあがる.

 数学的な厳密性を重んじてしまうと,こんな議論でよいとは思えないが, おおらかな心で積分の公式に対応しよう. そうでないと,力学や電磁気学はやっていけない….


negami@edhs.ynu.ac.jp [1998/5/1]