第三の理/補足○
ハノイの塔

 そもそもハノイの塔というパズルの起源は何だろうかと, 私の知恵袋の 1 人である 松井知巳氏(現在,東京大学工学部計数工学科・助教授)に尋ねたところ, 次の本を紹介してくれた.

 題名にもあるように, この本自体は巡回セールスマン問題という 最適化問題を解説したもので, ハノイの塔の問題と直接関係があるわけではない. いろいろと工夫された本で, 読者の興味を引く話題が随所に挿入されている. ハノイの塔の話は,累乗数の大きさを示する例として,紹介されている.

 それによると, フランスの数学者ルカ('Edouard Lucas, 1891--1994)が, 彼の著書 “R'ecr'eations Math'ematiques”(Vol. III, pp.55-59) の中で,ハノイの塔を紹介したそうだ. 天地創造のときに神様が 64 段のハノイの塔を作り, それをブラーマ寺院の僧侶たちがルールに従って移動を続けている. その作業が完了したときには,この世が終わりを告げるという. どうやら,このハノイの塔の話はルカ自身の創作のようである.

 この本に限らず,ハノイの塔の話を題材にしているものは多い. 例えば,次の本の第 4 章で, ハノイの塔をモチーフにしたストーリーが展開されている.

 そこでは,インドのある寺でハノイの塔の移動が行われている とされている. ハノイはベトナムの首都なのに….

 そもそもどうしてハノイの塔は「ハノイ」なのだろうか?


negami@edhs.ynu.ac.jp [1998/5/1]